序説
この記事は、ハグルマルマさん主催の企画「ワンフレーズレコメンド」の1月11日分の記事です。
好きな楽曲のワンフレーズを熱く語ろうという本企画。
ありそうでなかった、物書きによる物書きのための物好きの企画。
企みを形にしてくださったハグルマルマ(@haguruma_usg)さんに、この場を借りて心の底から感謝を。ありがとうございます。
前回のOrengeさんの記事はこちら。
火力はまさしく絶好調。
私も自分の覚悟を書き連ねたいと思います。
3日目、いざ。
犯行現場
ドラマとはどこに芽生えるか。
他でもない、THE KEBABSの「てんとう虫の夏」の一節である。
「シンセサイザーの音でかき消して!」
一見シンプルな一行が、如何にしてドラマを獲得したのか。ここはその検証現場である。まずは犯行現場を一聴してほしい。
0:01~
いかした奴らにふさわしく、犯行前の準備は入念に施される。
サンバのリズムに似たメロディーに乗せた牧歌的な描写。
これから起きる事件など微塵も予想させないような。
急な打ち水に驚く てんとう虫の夏
ここで小さな疑念が生じる。この風景は、誰のものなのか?
てんとう虫?それとも通りすがりの子ども?
主格はゆらゆらと両者の間を行き交い、曖昧になっていく。
ほんの爪先にも満たない違和感が、音楽の向こう側を照らす。
ただの風景には収まらない何かがやってくる。この夏をただの夏で終わらせない、何かが。
0:45~
積乱雲が立ち上る こっちもそろそろ危ない
なんだ、積乱雲か。
そんな安堵を笑い飛ばすかのように、助走を止めないギター。
そして、あくまでも冷静な情景描写。
相反する温度差の狭間で焦らされて、どうしようもなく乾いた体に。
0:57~
シンセサイザー!
シンセサイザーが容赦なく降り注ぐ。
雷鳴の一声と共に始まった圧倒的な"それ"に、すべてがかき消されていく。
いつもと変わらない夕立が降り注ぐだろうという予感が。
少年とてんとう虫の境界が。
ここに至るまでの些末な感想が。
普段通りの夏を期待した私が。
こんなの、こんなの。
気持ち良くないわけが無い!
~03:54
これから何度も夕立を経験するとしても、最早これまで通りとはいかない。雨音の向こう側でシンセサイザーが激しく共鳴する。
夏が来る度、夕立を浴びる度に思い出すだろう。
存在全てを上書きしてしまうようなあの衝撃を、欲してやまなくなるだろう。
「シンセサイザーの音でかき消してくれ!」
と叫ばんばかりに。
次なる予感を匂わせるように、イントロにつながる形で曲は幕を閉じる。
犯行を終えて
ドラマとは何処に芽生えるか。
日常と非日常の化学反応。一見歪な出会い。意外性。
新鮮な驚きはいつだって、我々の胸中に電撃の煌めきを残す。
しかして今日もイヤホンを携えて、我々は彼らの次回の犯行予告を探し求める。
否、探さずにはいられないのだ。
予告状
明後日を担当されるのはフラジオ(@miss_SandyUSG)さん。
「#細かすぎて伝わらないパトぺジ」タグの創始者その人。
その有り余るセンスと愛と熱量によってどんなレコメンドが紡がれるのか、胸は高鳴るばかり。
他の参加者様のNoteやブログを読みつつ、キリンの如く首を長くして待っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
See You Next Live!